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『英国王 給仕人に乾杯!』(2006年、チェコ)


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 ”映画は第二の人生”と呼ぶ人がいるように、自分では決して経験し得ない人生を、過去にわたり現在にわたりそして未来にわたり、スクリーンを通してそれはもうたくさん経験できるものであると思う。一本の太い線から枝分かれして細い線が無数に広がっているイメージ。必要なのは想像力である――映画に没頭しやすい人であればなさおさらそれを実感するのではないか。だから映画は素晴らしい。『英国王 給仕人に乾杯!』のような傑作に出会うと改めてそう思うのである。

 本国チェコの映画賞を総なめにした本作は、激動するチェコ20世紀現代史を舞台に、大きな夢を抱いた小さな男の半生を描く。15年という刑期を終えてプラハの刑務所から出所したヤンは、山中の廃屋で見つけたビールジョッキがきっかけとなり、給仕人として生きた自分の人生を振り返る。その記憶をなぞるようにして物語は進み、観客はヤンという男のドンデン返しな半生を経験することになる。

 この小さな男が抱いた大きな夢とは、つまるところ”百万長者”。金・女・名誉という、いかにも俗っぽい要素がしばしば絡んでくるゆえ、ともすれば男たちのどうしようもなく矮小な部分を露悪的に描いたような下品な映画になるだろうが、破壊的ユーモアに満ちた本作はそれを許さない。とにかく憎らしいぐらい笑えることができ、歴史的悲劇が絡んでくる後半すらも軽やか。意外と予算があるのか映像は豪華で、流れる優雅な音楽も給仕人たちの立ち居振る舞いに華を添えている。まるで一つの夢を見ているような気分にさせる快作である。


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