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 『BANDAGE』、この映画を見て最初に思ったことは、「やってくれたな小林武史」。小林武史と岩井俊二がプロデュースした『ハルフウェイ』のように、彼らが関わった作品の例に漏れず本来ならミニシアターでひっそりと公開されていいような映画でも、ジャニーズの赤西仁が主役を務めたおかげか全国のシネコンで広く公開されることになったのは嬉しい限りなのだけれど、でもそれ(赤西主演)が良かったどうかは分からない、というのも、赤西目当ての女子高生たちに代表される、若い観客が求めてるような内容の映画とは恐らく大きく異なるからだ。だから「やってくれたな小林武史」と”称賛”のことばを贈ったのだが、ジャニーズ主演という情報だけで敬遠している映画ファンも少なからずいるわけで、それはそれで悲しい。本作のキーワードの1つは「すれ違い」。客と監督の間でも「すれ違い」が生じている感はどうしても否めない。それはさておき。

 「音楽はそんな簡単に切ったり貼ったりできるもんじゃねぇんだよ」などの台詞は、音楽業界に長く身を置くコバタケが監督しているからこそなのか、妙に説得力があるように聞こえた。その台詞に至るまでの描写も面白く、ブレイクのきっかけとなるナツ(赤西)の『元気』はまず最初にアサコ(北乃きい)が聴かされることになるのだが、車内で演奏している様子を外からカメラで捉えているため、観客には聴こえないという演出がなされており、この時点でどのような曲かは分からない。分からないまま、マネージャーの「もっとノリが良く」「いまふうっぽく」という指示で次々とアレンジが加えられる。本来とは異なる曲が作られていく(そしてそれが必ずしも正解ではない)このあたり、コバタケ自身の過去の経験が反映されているのかもしれない。

 結局出来上がった楽曲は、レコーディングの際にアサコが「元の曲と全然変わっちゃいましたね」と感想を漏らしたことから、原曲とはかなりかけ離れているらしいということが観客に分かる。初めて『元気』を聴いたときは涙を流していたのに、今度はどこかぎこちない表情をしているアサコ。対してアレンジされた曲に対して特に意見もしないナツ。冒頭から幾度となく繰り返されるふたりの「すれ違い」をここにも見てとれるのだが、その「すれ違い」が、後半のアサコの本当の感情が吐露される長回しのシーンにおいて決定的に印象付けられる。

 部屋を出て行った直後、扉のすぐ横で腰を下ろして顔を膝に埋めるアサコの姿をカメラが捉えながら、切り替えして再びカメラは部屋に戻り、ナツは蚊の泣くような声で『元気』を歌う。ここで初めて、おそらくこれが最初にアサコに聴かせた、手が加えてられいない曲だなということが分かる。カメラは徐々に引きながら今度は部屋の外を映そうとするが、観客の想像通り(いや期待を裏切るように?)、もうそこにはアサコはいない。何の気配もなく去っていったアサコ。苦い。

 『BANDAGE』は青春映画、恋愛映画、音楽映画、いずれのジャンルからも見ることは可能だし、いずれのジャンルとしても成功を収めている思うのだけれど、自分は、アサコというどこにでもいそうな女性の成長物語として見ていた。結果的に自分を苦しめることになってしまった”音楽”(マネージャーが”昔はもっと純粋に音楽が好きだったのに”と話すくだりは、あるいはコバタケの経験に因るものかもしれない)との関わりが、これまた結果的にせよ、自分を輝かせるものになったという点は見過ごせない。才能あるバンドに出会い、それを「私が発掘しました」と語る、アサコの誇らしい姿。実に清々しい。



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