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『デザート・フラワー』(2009年ドイツ・オーストリア・フランス)

 生まれ故郷の砂漠を脱してロンドンへと渡り、掃除婦の仕事を経てファッション業界のスーパーモデルへと華麗な転進を遂げた少女の物語。これだけの情報だと紛うことなきシンデレラ・ストーリーに思えるが、そこに”ワリス・ディリー”という固有名詞が加わると、襟を正して見ないわけにはいかない、強い意志の込められた映画になる。”ワリス・ディリー”――自身も3才の頃に施された、いわゆる少女割礼、アフリカにおいてはそれまで2000年ものあいだ行われ続けてきた悪しき習慣を白日のもとにさらし、真実を訴え続ける、勇気ある女性。彼女の壮絶な半生を綴った『砂漠の女ディリー』を映像化したものがこの『デザート・フラワー』である。本作品は、1つの映画として見れば、なるほど確かにバランスの悪さが目立っている。くだんの告白も唐突感が否めない。ただ、この映画の底流にあるのは「伝えなければ」という使命感であり、映画は人を楽しませるだけでなく、啓蒙し、奮い立たせるためのツールにもなり得るということを改めて実感させてくれる。ハートのある映画だと思う。偽装結婚した彼へのフォローがなにもないのはちょっと可哀相だけど。






『君を想って海をゆく』(2009年フランス)

 フランスに不法滞在中のイラク出身の少年がイギリスに住んでいる恋人に会うために密入国しようとするが失敗してしまう。彼が次に考えたのが、泳ぎの経験もないのにドーバー海峡を渡るというトンデモなプラン。そこに思春期特有の短絡的思考を見てとれるが、もちろんそれはこの映画においては些末な問題だ。水泳コーチが離婚直前の妻に語る、「彼は恋人のために海を超える。自分はこれほど近くにいる君ですら手放さそうとするのに」というセリフがミソで、イギリスに至るまでの途方もない距離は、取りも直さず人と人の物理的距離と精神的距離のメタファーであるということが分かる。遠ければ心は離れる。近くても心は離れる。人に寄ろうとする行為は、まさに海を泳いで渡るがごとく辛苦を伴うものなのかもしれない。恋人への強い思いが胸を打つ、実直な映画だ。





『ハーモニー 心をつなぐ歌』(2010年韓国)

 快適な刑務所、人の良すぎる刑務官。映画的寓話がそこかしこに配置されているぶんは全く構わないのだが、泣きと笑いが往復するあざとい情感偽造にお手上げ。



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